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少年院の説明(少年法改正をふまえて)

2021/04/17

少年院は,家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し,その健全な育成を図ることを目的として矯正教育,社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。

少年院の種類としては、効果的な矯正教育を実現するために、第1種から第4種まで4つの種類が定められていますが、家庭裁判所が少年院送致決定をする場合には、第1種少年院から第3種少年院の中から送致すべき少年院を指定することになります。

平成19年の改正により、少年院の収容年齢の下限を年齢によって一律に区別するのではなく、個々の少年が抱える問題に即して最も適切な処遇を選択できる仕組みとするために、おおむね12歳以上14歳未満の少年については、「特に必要と認める限り」、少年院に収容できることとされました。

なお、旧来の初等少年院と中等少年院が統合されて第1種少年院に、特別少年院が第2種少年院に、医療少年院が第3種少年院となりました。

 当事務所にお寄せいただく少年院に関する質問として、「うちの子供は初等少年院にいくことになりますか?」というご相談がありますが、現在は初等ではなく第1種少年院という呼び方に変わっております。

また、令和4年度施行の少年法改正に応じて、第5種少年院が新設されます。

少年法の改正により、特定少年の制度が定められましたが、特定少年に対する保護処分には、①6月の保護観察、②2年の保護観察、③少年院送致の3種類が決められます。

そして、②の保護観察については、重大な遵守事項違反があった場合には、1年以下の範囲内で、家庭裁判所の決定により収容することができ、このために、第5種少年院が新設されます。

なお、少年院の収容期間については、原則として少年が20歳に達するまでですが、決定時に少年が19歳を超えている場合には、送致のときから1年です。

ただし、地方更生保護委員会の決定により仮退院を許すことになり、この場合、保護観察に付されます。

少年院の種類

旧来の少年院の種類

  • 【初等少年院】心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上おおむね16歳未満の者を収容
  • 【中等少年院】心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者を収容
  • 【特別少年院】心身に著しい故障はないが、犯罪的傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を収容
  • 【医療少年院】心身に著しい故障のある、おおむね12歳以上26歳未満の者を収容

現在の少年院の種類

  • 【第1種少年院】保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満のものを収容する(第2種に収容すべき少年は除く)
  • 第2種少年院】保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満のものを収容する。
  • 第3種少年院】保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満のものを収容する。
  • 第4種少年院】少年院において刑の執行を受ける者を収容する。
  • 第5種少年院(令和4年度以降新設予定)】特定少年の保護観察処分(2年)について、重大な遵守事項違反があった場合に、1年以下の範囲内で、家庭裁判所の決定により収容される。

矯正教育について

少年院では、犯罪的傾向を矯正し、並びに在院者に対し、健全な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識及び能力を習得させることを目的とするため(少年院法23条1項)に、矯正教育課程を定めています。

矯正教育には、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導の5つの分野が設けられています。

生活指導

少年院法24条1項には、「少年院の長は、在院者に対し、善良な社会の一員として自立した生活を営むための基礎となる知識及び生活態度を習得させるため必要な生活指導を行うものとする」と規定しています。

指導内容には、基本的生活訓練、問題行動の指導、治療的指導、被害者心情理解指導、保護関係調整指導及び進路指導があります。

また、在院者の抱える特定の事情の改善に資するために、以下の6種類の特定生活指導が実施されています。

  1. 被害者の視点を取り入れた教育
  2. 薬物非行防止指導
  3. 性非行防止指導
  4. 暴力防止指導
  5. 家族関係指導
  6. 交友関係指導

​このうち、薬物非行防止指導及び性非行防止指導については,重点指導施設が指定され、指導の充実が図られています。

職業指導

少年院法25条1項には、「少年院の長は、在院者に対し、勤労意欲を高め、職業上有用な知識及び技能を習得させるため必要な職業指導を行うものとする」と規定されており、①就業に必要な専門的知識及び技能の習得を目的とした「職業能力開発指導」、②職業生活における自立を図るための知識及び技能の習得並びに情緒の安定を目的とした「自立援助的職業指導」、③有為な職業人としての一般的な知識予備態度並びに職業選択能力及び職場適応能力の習得を目的とした「職業生活設計指導」が実施されています。

そして、それらの実施種目として、電気工事科、自動車整備科、給排水整備科、情報処理科、介護福祉科、溶接科、土木・建築科、クリーニング科、農園芸科、伝統工芸科、手芸科、陶芸科、木工科等があります。現在では、パソコンスキルの習得などの指導も設けられています。

教科指導

義務教育,高校卒業程度認定試験受験指導が行われます。

具体的には、義務教育未終了者及び社会生活の基礎となる学力を欠くことにより改善更生及び円滑な社会復帰に支障があると認められる在院者に対しては、学習指導要領に準拠した教科指導が行われます。

そのほか、高等学校への編入・復学・大学等への進学又は就労等のために高度な学力を身につけることが必要な者に対しては、その学力に応じた教科指導が行われます。

体育指導

少年院法28条1項には、「少年院の長は、在院者に対し、善良な社会の一員として自立した生活を営むための基礎となる健全な心身を培わせるため必要な体育指導を行うものとする」と規定しています。体育指導は、主に、基礎体力の向上が目的とされています。

特別活動指導

情操を豊かにし、自主、自律及び協同の精神を養うために、社会貢献活動,野外活動,音楽活動が実施されます。

このうち、社会貢献活動としては、社会に有用な活動を通じて規範意識、社会性の向上等を図ることを目的として、公共施設における清掃活動等が行われます。

少年院の運営

少年院視察委員会

各少年院には,法務大臣が任命する7人以内の外部の委員で構成され、少年院を視察しその運営に関し、少年院の長に対して意見を述べる少年院視察委員会が設置されています。

在院者は,委員による面接を希望する場合には,これを申し出ることができるほか,委員会に対する意見等がある場合には,意見等を記載した書面を投函することができます。

保健衛生・医療

在院者には,できる限り戸外で,健全な心身の成長を図るため適切な運動を行う機会が与えられています。また、職員である医師等又は少年院の長が委嘱する医師等が、在院者の診療を行い、必要な医療上の措置を執ります。

規律・秩序維持

少年院においては,少年院法により定められた要件や手続等に基づき,少年院の規律及び秩序を害する反則行為をした在院者に対して,不利益処分である懲戒を行うことができます。

懲戒は,少年院の規律及び秩序の維持を主たる目的としつつ,当該在院者の規範意識を喚起する教育的機能を持つものであり,①厳重な訓戒②20日以内の謹慎の2種類があります。

不服申立制度

不服申立制度として,救済の申出及び苦情の申出の制度があります。救済の申出は,自己に対する少年院の長の措置その他自己が受けた処遇について苦情があるときに,法務大臣に対して,救済を求める申出をすることができる制度です。一方、苦情の申出は,自己に対する少年院の長の措置その他自己が受けた処遇について,監査官及び少年院の長に対して申出をすることができる制度です。

※上記記載は「令和元年犯罪白書」を参照しております。

大阪矯正管区の少年院

大阪矯正管区の少年院と概要例を下記に記載します。

施設名 性別 種別 入所期間例
播磨学園 男子 第1種 6か月
泉南学寮 男子 第1種 6か月
浪速少年院 男子 第1種 2年
加古川学園 男子 第1種 2年
和泉学園 男子 第1種 2年
奈良少年院 男子 第1,2,4種 2年
交野女子学院 女子 第1,2,4種 6月~2年
京都医療少年院 男女 第3,4種 事案による
浪速少年院

基本的な生活指導の他、職業訓練を中心として、クラブ活動や就労準備講座などが行われています。また、情操教育の一環として茶道や生け花の授業や、老人ホームでの奉仕活動など院外での活動も行われます。また、西日本の職業訓練の広域センターに指定されているため,職業訓練に重点をおいた過程が設けられていることに特徴があります。

交野女子学院

職業指導として,ワープロ,ホームヘルパーの資格取得をはじめ,問題性の敢然として,薬物や性についての指導が重視されています。これは,援助交際等の事案に対応するためと考えられます。薬物犯については,幻覚や幻聴など薬物の影響がみられる少年が増加しており,このような少年への対応も行われています。また,社会奉仕活動,クラブ活動等の特別活動も行われます。

加古川学園・播磨学園

同じ敷地内に加古川学園と播磨学園が設置されています。主に職業補導や教科教育が行われており,溶接などの資格取得に力が入れられています。また,建設機械運転の免許取得のための教習場が設置されています。ハローワークなどとも連携が図られ,就労支援に力を入れています。

※上記記載は「少年院入門」【第一東京弁護士会編】を参照しております。

少年院送致について

監修者
弁護士上村武史

少年はやがては社会に戻り、そこで生活することとなります。少年院という閉鎖された空間の中でしっかりとした教育が施されるとしても、社会に戻った時にすぐに対応できるか疑問であるところでもあります。実際に少年院から社会に戻ったものの、再非行・再犯をしてしまう少年もいます。

被害者へのご配慮や少年の内省を深めることは非常に重要なことですが、一方で、少年が社会の中で適切な教育・訓練を受けつつ、更生に向けて進んでいくことができる社会を築いていくことも再犯(再非行)防止の上で見過ごしてはならないことであると考えます。

※本コラムは公開日当時の内容です。

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