2021/04/17
少年事件の中でも、交通関係事件は事件数が多く、交通事故の特色に着目した指導や教育が必要となります。
そのため、これらの特色に配慮した規定が設けられています。
交通関係事件は事件数が多く、道路交通法違反事件の処理については、特例として、交通切符制度と交通反則通告制度があります。
交通切符制度とは、警察、検察庁、裁判所が、共用書式を使用することで事件の迅速・効率的な処理を図ることを目的とする制度です。
ただ、成人の事件と異なるのは、直ちに略式命令がなされるのではなく、一旦、家庭裁判所に送致される点です。そして、家庭裁判所から逆走されてきた者についてのみ略式命令がなされます。
交通反則通告制度により処理される事件と、共同危険行為及び自動車運転過失致死傷事件に関連する道路交通法違反事件(※)を除く道交法違反事件は、交通切符による家裁送致がなされます。
(※)共同危険行為及び自動車運転過失致死傷事件は、通常通り、家庭裁判所に送致されます。
交通違反といえども犯罪なので、本来であれば家庭裁判所の審判によって処理されるべきものです。しかし交通違反事件はあまりにも数が多いため、すべてを家庭裁判所で処理することは困難です。
そこで、道路交通法違反事件のうち程度が軽く危険性が少ないものについては、反則金を納付したときは、家庭裁判所の審判に付さないとしています。そして、反則金を納付しない場合には通常の手続きによって家庭裁判所に送致されることとなります。
注意点として、次のいずれかに該当する人は反則者にならず、交通反則通告制度が適用されません。
また、反則者に該当する人でも、次のいずれかに該当する場合は交通反則通告制度が適用されません。
共同危険行為等の罪で家庭裁判所に送致された場合、家庭裁判所による審判が行われます。
処分は交通事件においても、通常の場合と同じく、保護観察、少年院送致等があります。
交通関係事件の処遇に着目した保護観察として、交通保護観察の制度があります。交通保護観察は、基本的には、一般保護観察と同じですが、必要に応じて交通法規、運転技術等に関する指導が行われます。
解除の基準は、保護観察に付されてから、およそ6か月を経過していることです。
交通短期保護観察は、およそ3か月以上4か月以内に解除が検討されます。交通短期保護観察も、家庭裁判所の処遇勧告を受けて実施されますが、集団処遇が予定されています。
通達によると、
の6つの事項に該当し、かつその改善更正のために特に必要と認められる事項がなく特別順守事項を定めない少年であることが基準とされています。
監修者
弁護士上村武史
交通事故事件には、交通保護観察の制度がありますが、再非行を繰り返す可能性が高く、人身への加害の可能性が高い場合には、少年院への収容の可能性もあります。
交通事件について甘く考える方がいますが、人身への重大な危険を伴います。
交通事件を起こして家庭裁判所に送致されるような事件を起こした場合、審判までにしっかりとした対応をとることが望まれます。